前期/第2展示室


第2展示室フロアガイド


フロアガイドは印刷版をご用意しております。ご希望の方は受付にお申し出ください。


1.陽光


題名:陽光
サイズ:100.0×100.0cm
制作年:平成23年(2011)
取材場所:中国北京 紫禁城

 取材のため初めて紫禁城を訪れたのが平成20 年(2008)の11 月です。
 紫禁城は、中国の明・清朝の皇居で現存する宮殿群は当時の皇帝の威厳を現代に伝えています。
 そこには想像を絶する広大な空間と時間が圧縮されています。民衆は一歩も足を踏み入れることが許されなかった禁断の皇城の、あゝ、何と美しいことか……究極の美が私の心を揺さぶります。
 平成23 年(2011)に「紫禁城」六曲屏風一隻(鋸山美術館蔵)を完成させましたが、この作品はその前作に当たり、古(いにしへ)の歴史の重みを伝える印象的な赤い壁にやさしい光が射し込んでくる情景を描きました。


2.木漏れ日


題名:木漏れ日
サイズ:72.7×91.0cm
制作年:平成25年(2013)
取材場所:千葉県佐倉市 八幡神社散策路

妻をモデルに美しい木漏れ日がたゆたう光と空気を描いてみました。


3.昇(小下図)


題名:昇(小下図)
サイズ:20.0×20.0cm
制作年:令和4年(2022)
取材場所:東京都千代田区 皇居和田倉橋


4.昇


題名:昇
サイズ:100.0×100.0cm
制作年:令和4年(2022)
取材場所:東京都千代田区 皇居和田倉橋

 形のないモティーフをきちんと描くことはたいへん難しく、日々悪戦苦闘しております。写生を通し目に見えない音や空気などを表現することの大切さを日本美術院の先生方にお教え頂いております。
 この度、出品させていただきました「昇」は、美しい木々が印象的で、歩く足元の玉砂利がきしきしと軋む音が清々しい皇居外苑のお濠に架かります和田倉橋と昇る日射しをテーマに描きました。


5.曙光


題名:曙光
サイズ:175.0×215.0cm
制作年:平成5年(2023)
取材場所:東京都千代田区 皇居平川門

 皇居の竹橋に位置する東京国立近代美術館や日本の名建築として名高いパレスサイドビルの正面に平川橋があり、お濠を渡った先にがっしりと重厚な平川門があります。
 石垣を見るだけで気分が高揚する歴史好きの私です。どうしてもその時の感動が忘れられず、描きたくなり光をテーマに制作いたしました。
 皇居東御苑の入口でもあり、多くの人々が訪れます。
 また、パレスサイドビルの屋上にはお昼の時間帯は誰でも入れます。皇居を中心に大手町、銀座、警視庁や国会議事堂を眺望できる絶景スポットです。江戸時代から明治維新を迎え、また戦後経済復興を遂げた日本の現在の姿を屏風に描き残したいと思っています。
 とても美しい場所です。是非訪れてみてはいかがでしょうか。


6.映


題名:映
サイズ:72.7×91.0cm
制作年:平成17年(2005)
取材場所:アメリカ ニューヨーク ソーホー マーサー通り


7.響(小下図)


題名:響(小下図)
サイズ:42.0×34.0cm
制作年:令和4年(2022)
取材場所:東京駅丸の内北口改札広場


8.響


題名:響
サイズ:215.0×175.0cm
制作年:令和4年(2022)
取材場所:東京駅丸の内北口改札広場

 現在の東京駅は1914 年開業当時の姿に復元されました。
 イタリアのローマ市内にあるパンテオン神殿を連想させるドームがたいへん美しく、見上げると躍動感のある八羽の大鷲のレリーフや干支の彫刻が丸の内駅舎の改札で出迎えてくれます。そして長い歴史を乗り越えてきた先人の方々への感謝の気持ちが溢れます。
 広大な空間の窓から降り注ぐ神秘的な光を絵にしたいと思い制作いたしました。


9.樹映(小下図)


題名:樹映(小下図)
サイズ:26.0×26.0cm
制作年:平成20年(2010)
取材場所:東京都千代田区 皇居大手濠


10.樹映


題名:樹映
サイズ:162.0×162.0cm
制作年:平成22年(2010)
取材場所:東京都千代田区 皇居大手濠

 ゆらゆら煌めく大手濠の水面。
 30年以上前から皇居のお濠や平川門などの写生を通して光、空気、音、香りなど形のないものの表現をテーマに勉強を続けてきました。今回出品させていただきます「樹映」、「揺蕩う」、「昇」などは私の勤める新聞社から皇居が近いため、数多く描きました。
 松尾敏男先生が「本画にするとき、写生をただ写すだけではいけません。空気や音など目にみえないものや、もっと深いものを自然から学びとりなさい」というお言葉を繰り返しおっしゃられていました。日々研鑚を積むことの大切さを痛感しています。


11.揺蕩う


題名:揺蕩う
サイズ:100.0×100.0cm
制作年:令和3年(2023)
取材場所:東京都千代田区 皇居平川濠

 「揺蕩う」は皇居北の丸濠端に位置したパレスサイドビル屋上から写生をしました。
 豊かな自然が残る皇居に魅かれ、普段からよく写生に訪れています。今まではお濠を水平に見る視点で描くことが多かったのですが、高層ビル屋上庭園から平川濠を俯瞰した時、広大な景色と眩く光る水面に心を奪われました。
 形の定まらない水を描くことはとても難しく、なかなか表現できませんが、勉強の気持ちからこの構図に挑戦しました。


12.雨色


題名:雨色
サイズ:100.0×100.0cm
制作年:平成20年(2008)
取材場所:アメリカ ニューヨーク

 通り雨の上がった午後、清々しい雨後の香りが体中を包み込みます。足元に広がる濡れた通りにふと目をやると、何とも言えない美しい光景に巡り合いました。五番街からイースト川方面へ少し入った路地にて写生しました。
 研究会でよく先生方がおっしゃられていました。
 「道端に生える雑草など人目を引かない日常の何気ない光景を画題にしなさい」
 誰でも描ける構図ではなく、絵になりにくい難しい構図をあえて選んで描写した作品です。絵に対する新しい視点と画力をつけるための勉強として制作いたしました。


13.濠


題名:濠
サイズ:100.0×100.0cm
制作年:令和2年(2021)
取材場所:東京都千代田区 皇居平川濠

 大手町にある37 年程勤務している新聞社から皇居に向け崇敬の気持ちが強い将門塚を通り過ぎ、5 分ほど歩くと、四季を通し美しい表情を見せる大手濠に突き当たります。内堀通り沿いに竹橋方面へ向かう途中の石垣をモティーフに決めさせていただきました。
 写生を続け休憩したくなると、すぐ近くの794 年の平安京遷都で1200 年以上続く京の都の基礎を築いた和気清麻呂像がある清麻呂公園でひと休みします。キラキラ光り輝く水面の表情を眺めながら思いをめぐらす時の缶コーヒーはたいへん美味しいものです。


14.冬日


題名:冬日
サイズ:175.0×215.0cm
制作年:平成27年(2015)
取材場所:千葉県佐倉市 八幡神社広場

 キーンと耳が痛くなる寒さの中、白々と濃紺の夜が明ける時の張りつめた一瞬一瞬の何と美しいことか。
 希望を乗せて輝く旭にしばし魅了され、その美しさを描こうと思いました。


15.石畳


題名:石畳
サイズ:100.0×100.0cm
制作年:平成26年(2014)
取材場所:東京都中央区 銀座五丁目 銀座中央通りから昭和通り方面へ少し入った路地

 銀座五丁目(銀座中央通りから昭和通り方面へ少し入った路地)にて写生しました。
 雨に濡れた石畳のみをモティーフにした難しい構図でしたが、光が石畳に滲み、雨後の香りが伝わるような作品にしたいと思いました。


16.風の音


題名:風の音
サイズ:227.3×170.0cm
制作年:平成4年(1992)
取材場所:多摩美術大学付近(東京都八王子市鑓水)

 学生時代に壊れかけのバイクに跨がり、よくモティーフを探しに出掛けました。
 黄昏時の夕日を受けて風にたなびきながら輝くススキの街道は金色にたゆたふ蜃気楼のようでした。
 強く心に残ったその光景を風をテーマに金箔などを使い制作いたしました。
 平成4 年(1992)第4 回川端龍子賞展に入選した作品です。


17.冬日


題名:冬日
サイズ:60.6×72.7cm
制作年:平成27年(2015)
取材場所:千葉県佐倉市 八幡神社広場


18.空港・夜景


題名:空港・夜景
サイズ:116.7×116.7cm
制作年:平成6年(1994)
取材場所:千葉県成田市 成田国際空港

 24 歳の時に初めて行った海外旅行はタイ・バンコクでした。
 アユタヤなどの世界遺産を取材し、世界の広さを実感しました。その後、ニューヨークやパリなどでの個展で繰り返し成田空港を利用することになり、現在に至っています。
 この作品は第11 回上野の森美術館大賞展入賞者展に出品するべく、“27 歳” の夢と希望を運ぶボーイングの旅客機と光彩を放つ憧れの空港を描いた作品です。


19.水温む


題名:水温む
サイズ:60.6×72.7cm
制作年:平成26年(2014)
取材場所:千葉県佐倉市 臼井水田脇用水路

 田んぼの畦道を歩いていると水が緩やかに流れる用水路に太陽の光が反射しています。
 何気ない風景ですが、懐かしい不思議な気持ちになりました。どうにかこの風景を作品にできないかと思い、勉強のつもりで描きました。

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