坂本 一樹 Ikki Sakamoto
画家

坂本の画家としてのスタートは主に動物をモチーフとしていた。取材のために訪れたケニアで人々の生活や文化、音楽といったものに強烈な印象を受け、アフリカの大地から発する自然の雄大さや奥深さ、生命の営みを写実的に動物を描くことで表現してきた。
出品作品について

出品作品の「ELEPHANT」はその時期を象徴する作品である。アフリカ象の大きさ、姿形、存在感は偉大な地球が生んだ生命の神秘そのものである。
しかし、次第に動物を描くことに疑問を抱くようになる。そんな時に坂本が気付かされたのが、単純に一本の線を引くことだったという。純粋無垢に描く行為そのものを楽しみ、そこにアフリカの生命に匹敵する芸術の可能性を見出した。
そして抽象画へと

その時の衝撃から生まれたのが、今日に至るテーマである「宙-SORA-」シリーズである。縦横に線を引き、そこにクレパスで色を塗っていく。クレパスはやがて日本画の画材へと変化し、表現に深みが増していった。坂本が描く「宙-SORA-」シリーズは抽象画というジャンルに属す。フリーハンドで描かれた一つ一つの線や形、色は一見単純で幾何学的ではあるが、有機的なゆらぎを見せ、それぞれ異なった表情を持つ。その表現の中には空間の無限の広がりと深さが感じられる。
根源的な追及は昔も今も変わらない
アフリカの大地を通して描いてきた生命の神秘は形を変え、抽象表現となった今も根本的な探求「存在の神秘を探りたい」という坂本のテーマは変わらない。
