早川 榮二 Eiji Hayakawa
彫刻家

巨大な昆虫や精巧な動植物。全てがステンレスの彫刻の世界。粘土原型をもとに型紙取りをし、ステンレスを切断、打ち出し、溶接、接合、研磨を繰り返す独自の制作方法。
彫刻家としてのスタート
ロンドンで西洋彫刻を学び、鉄による彫刻作品を作り始める。転機となったのは1992 年制作の「ヤドカリ」で、それまでの「鉄」という素材から「ステンレス」へと移行し、以後ステンレスの可能性を探るようになる。
出品作品について

出品作品の「積層の蝉」では巨大な蝉がピラミッド状の台座の上に接合されている。本来であれば5cm ほどの蝉が何倍にも拡大されており、逆にピラミッドの形をした構造物は本来の縮尺よりかなり小さい。蝉は長い年月を土の中で過ごしたのち、子孫を残すために短い夏を謳歌し、そして土に帰る。この究極の生と死の連鎖は永遠の生と死のモニュメントとしてのピラミッドに通ずる。悠久に繰り返される時を積層のピラミッドとして同じ空間で相対峙させる。生命の永続性と刹那を「積層の蝉」の主題としており、このように素材感と造形性、コンセプトの融合により早川の彫刻は生まれる。
日本の美意識にもとづく制作
日本の美意識に根ざした奇想派や琳派の流れをくむ作品は、現代の我々にも十分魅力的なものと感じられる。
